マーケティングの授業で、「事業活動における倫理」をテーマに、将来のリーダーとして善悪をどう判断するか問われました。 今回は消費者金融やカードローン(英国ではpayday loanと呼ばれる)を題材に議論しました。
これらは、年間15~18%という高金利でお金を貸し出します。利用者の多くは生活に困っている人々で、返済が長期化すると雪ダルマ式に負担が膨らむリスクがあります。
このように貧しい人々からお金を搾取するビジネスモデルを持つ消費者金融やカードローン会社は正当な事業といえるのでしょうか。
マーケティングで利用者の心に訴えることは良くないことでしょうか。
日本も含めて、年間20%の金利上限を法令で定めている国が多くあります。金利上限を20%としている各国政府の怠慢が原因でしょうか。
実態調査から見えた利用者像
方法論: 簡単に利用実態を調査して、対策を考えてみました。
「日本銀行協会の銀行カードローン調査」によると、利用理由のトップは「生活費の補填」。 娯楽やボーナス前の補填などの浪費目的より「やむを得ず借りている」人が半数近くを占めていました。 個別回答では「人間関係のトラブルなどで急な退職で、次の勤務先が決まるまでの補填」など切実な理由が目立ちました。 つまり一概に「浪費家のための仕組み」とは言い切れないのです。 消費者金融やカードローンは、困った人たちを助けている存在とも言えそうです。
日本銀行協会 銀行カードローンに関する消費者意識調査<調査結果>2020 p.30
金融教育は解決策になるか?
一方で浪費している人々への対策として次の仮説を立ててみました。
中学校や高校、大学で金融教育を普及させることで、消費者金融やカードローンで浪費する利用者を減らすことができる。なぜなら金融の知識がないために安易にお金を借りてしまうから。
「日本貸金業協会の若年者の金融経済教育受講経験の有無について調査」では、意外な結果が出ています。 なんと「借入申し込み経験のある若年者」ほど教育の経験があるという結果でした。 しかも「学校の授業で学習した」という回答が最多で、2位の「動画サイト等にアップロードされている映像を見て学習した」の2倍でした。 興味深いですね。
これは「金融の知識がないからお金を借りる」のではなく、学校の授業派は、金融の知識があり、お金を返せると判断して借りるということかもしれません。 一方で動画派は、お金を借りても返済できるか確認のために、動画を視るという使い方のようです。
日本貸金業協会 資金需要者等の借入意識や借入行動等に関する調査結果報告 2022 p.44
金融教育が有効かという別の視点で、金融教育の有無で返済期間が短くなるかどうかなども気になりますが、調査報告書にはデータが公表されていませんでした。 借入額も30,000円未満で全体の7割を占めており、多くの人は借り過ぎていないようです。 この日本貸金業協会のレポートは256ページもおよび元データがcsvで手に入れば便利だなと思いました。 また大手の消費者金融サイトでは、お金の学び場などの教育を提供していました。
金利20%の根拠は?
多くの国が「年20%」を金利上限にしていますが、この数値の根拠は明確に説明されていません。調べても「なぜ20%なのか」という問いには答えが見つかりませんでした。今後の宿題です。
結論
消費者金融やカードローンは「悪」ではなく、利用者のニーズに応え、価値を提供しています。 ただし即日融資というメリットの裏には返済リスクが潜みます。 金利の上限を20%から低下できるように各国と連携することを提案します。
結局のところ、金融サービスを「善」にするか「悪」にするかは、規制と教育、そしてリーダーの判断にかかっているのだと思います。



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