最近、企業のCMを見て「これ、攻めてるな〜」って感じること、増えませんでしたか?
昔のCMみたいに、ただ商品の良さをアピールするだけじゃない。人種問題や環境問題といった、社会が抱える大きなテーマに、ズバッと切り込む。そんな企業が目立ってきています。
これは「パーパス・ドリブン(目的主導型)」っていう、最近のマーケティングのトレンドなんです。今回は、その代表格ともいえるナイキの例から、現代のマーケティングのあり方を考えてみたいと思います。
現代のマーケティングは、より広範な社会問題や環境問題を問いかけるようになってきています。 従来、企業は「利益」を追求するための存在でしたが、今やこのような問題に対して、明確な立場をマーケティングで示す「目的主導型;purpose driven」が目立つようになってきました。
炎上も辞さない? ナイキの挑戦的なCM
米国ナイキは、Black lives matter を支援し、キャパニック(Kaepernick)選手(アメフトの選手、表現の自由と愛国心のあり方を問うた)をCMに起用したことが話題になりました。 日本でもナイキジャパンが、日本のダークサイドであるいじめや差別に関する次の動画を公開し、議論を呼びました。
昔は「企業は利益を出すことが目的」とされてきました。1970年、経済学者のミルトン・フリードマン氏は以下のように述べています。
企業の社会的責任はただ一つ、ゲームのルールを遵守する限り、つまり、欺瞞や不正行為のないオープンで自由な競争に従事する限り、その資源を活用し、利益増大を目的とした活動に従事することである。
there is one and only one social responsibility of business—to use its resources and engage in activities designed to increase its profits so long as it stays within the rules of the game, which is to say, engages in open and free competition without deception or fraud.
翻って現在では、企業の社会的責任(CSR)が普及し、社会問題に対して多くの企業が取り組んでいます。ただそれらの問題に対して、明確にポジションを示している企業は少数です。
狙いは注目? アテンションエコノミー
なぜナイキがアグレッシブな広告を出しているか真意は不明ですが、FTによると、極端な意見はSNSでバズります (FT, 2025)。 これは注目を集めること自体が経済的な価値をもつ「アテンションエコノミー(注目型経済)」です。 もし不買運動などを引き起こし、売上がマイナスとなるかもしれません。でも、代わりに同社の考えに感銘するファンを魅了することは間違いありません。 日本での広告もシニアには批判されたかもしれませんが、若者には共感した人も少なくなかったはずです。

「すべてを犠牲にしても」ブランド構築
ナイキは広告の中で「何かを信じるんだ。たとえすべてを犠牲にするとしても。(Believe in something. Even if it means sacrificing everything.」と訴えています。

これは、ジーテンダー・セーデフ氏が著書の中で掲げる「信じるものがあるなら全てを犠牲せよ。(Sacrifice everything if you believe in something)」と通じるものがある。 これは若い消費者層とつながるためのブランディング原則の一つです。

まとめ
ナイキの例は、好き嫌いがハッキリ分かれる「敵も作るが、ファンも作る」という、SNS時代のブランディングの典型例かもしれません。
でも、このやり方、本当に成功してるんでしょうか?
実は、2024年のナイキの売上は前年よりダウン。一方で、OnとかHoka、アシックスみたいなライバルは絶好調です。
そもそも過激なメッセージで注目を集めることはできても、購買フェーズに進む際には、履き心地や走力などコアな技術のほうを消費者は求めているのかもしれません。





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